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この中学校には怪談があった。
舞台は旧校舎の三階にある女子トイレ。
昼から夜へと移り変わる黄昏時、逢魔時ともいわれるこの時刻にそれは現れると言う。
個室の前に立ち、古びた木製のドアを三回ノックする。
そして「花子さん、遊びましょ」と呼び掛けるのだ。
出来るだけ親し気に。
これを一番手前の個室から順に奥に向って移動しながら繰り返す。
そして、一番奥のドアに到達し、そこで同じようにノックを三度。
最後に呼び掛けるのだ。
「花子さん、遊びましょ」
「はあい」
誰もいないはずの個室から響くのは可愛らしい女の子の声。
個室のドアが自然と開き、その向こうから現れるのはおかっぱ頭の女の子。
彼女こそがトイレの花子さん。
その姿を見た者は、トイレの中に引きずり込まれると言われている。
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