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 僕はその箱を持って交番を出た。  公園のベンチに座りその箱を眺めた。  すべての光を吸い込んで一切の光を反射しないその箱は、僕から光を吸い込んで闇だけを残した。  この箱は長い年月の間に僕の中に積もった後悔や、忘れるようにしていた慚愧そのものではないのだろうか。  耐えられなくなって僕は箱を踏んで壊そうとした。
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