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あの頃には戻れない
あれは、私が高校1年生だった頃、ふと学校の校舎から外を見ると、スクールバスで登校して来た生徒達が大勢、校舎に向かっている。
その中に、ピカイチ、カッコいい先輩がいた。
私は、毎日、その先輩をずっと…
遠くから見ているだけ…
毎日… 毎日…
そのうちに、その先輩は、私に気づき、こちらを見てくれるようになった。
先輩は、学園祭で人気ナンバーワンに選ばれ、バンドを組んで、ボーカルでもあり、益々カッコよ過ぎて、ライバルだらけ
でも、私の事、気にして見てくれている。
きっと、先輩も私の事「好きかも…」
なら、先輩からの告白を待ちたい。
でも、毎日、朝、登校時に目が合い、こちらを確かに気にしているはずなのに、何も言って来ないなんて、
私は、自分で言うのもなんですが、そこそこ可愛くて、男子からもモテていたので、なんで、告白して来ないの?
待っても、待っても、告白なんてされず、自分から、告白するハメになってしまった。
プライドの高い私が、「何故、自分から告白するの?」って心の私が叫んでいたけど、先輩の卒業も間近になり、焦ってたんです。
私は、思い切って、自宅に電話を掛けると、優しそうなお母さんが出て、先輩を呼んでくれた。
私の名前なんて、知らないはずが、「そう言う子がいるっていうのは、聞いた事あるよ。」って、言われて、思い切って、「あの、いつも見てる子ですけど、分かりますか?」と、聞くと、先輩は、「う、うん!分かるよ。」と優しい声で返事が返って来た。
「あの前から、ずっと好きでした。」
沈黙が続き、「あの付き合っている人いるのですか?」と聞くと、
「う、うん…」
「今ね。ちょっと付き合っている人いるんだよね」と、
「そ、そうなんですね。」
私は、静かに受話器を置いた。
それから、私は、毎日ショック過ぎて、友達と、なんで、あんなに見てたのにと話しているうちに、悲しくて、悲しくて…薬師丸ひろ子の元気を出してって曲が京子ちゃんにぴったりだねって言われた。
「涙など見せない、強気な貴女を そんなに悲しませるのは、誰なの?終わりを告げた恋にすがるのはやめにして、振り出しから、また始めればいい〜🎶」
そして、私の好きな先輩の親友と付き合っていた、私の友人が、私が告白した次の日に、先輩が親友にこう話したと、「昨日、女の子から、電話が掛かって来ちゃった。
俺、前から、その子知ってて、なんだか、悪い事しちゃった。」と言っていたと、聞かされて…
それからの日々は、卒業式間近まで、学校はお休みになり、あの頃のように、毎日、校舎から外を見渡しても、先輩は、いない。笑顔が輝いていて、37年もたった今でも、思い出せる。
卒業したら、東京の新宿の美容室に就職する事も分かり、遂に卒業式、先輩の左手薬指に指輪がはめてあって、おまけに彼女と噂されていた女性も指輪をはめていた。
ショック過ぎて…
私の友人が、勝手に、先輩の親友に、頼んでくれちゃって、先輩に、「京子ちゃんに第二ボタンをあげて欲しい」と、言ってしまったらしく、私は、無性に、腹立たしくなって、「なんで、そんな事言うの、私は、そんなの欲しくない!」って友人に言ってしまった。
本当は、少しでも、先輩が私の事、思ってくれていたら、自分でボタンをくれに来てくれるはずと、最後の望みをかけていたのに、
そして、卒業式も終わり、スクールバスが来て、先輩は、一番後に座り、こちらを振り返って見ているようだった。
私には、もう、あまりの悲しさで先輩を見上げる事は、出来なくて、一緒にいた友人が、「京子ちゃんの事見てるよ。」
「振り返って見てるよ。」って、「まだ見てる!」って言ってくれたけど、見上げる事は、出来ないまま、お別れとなったあの頃、今でも忘れる事の出来ない青春の1ページに私の心の奥で眠っています。
それから、2年が過ぎ、ずっと思い続けて、先輩の後を追おうと、美容師になる事に決めたら、何と!私が通っていた美容室で、美容師さんから、どこの高校?kk高校です。じゃあ、kk高校出身のO.Hって知ってる?と聞かれ、えっ!その人、私が好きだった先輩です。というと、同じグループにいるよと教えてくれたのです。私は、驚きでいっぱいで、それなら、この美容室に入社すれば、好きだった先輩にきっと会える。そして、k美容室に勤める事に、O先輩に、私がk美容室に勤める事を伝えてくれて、 O先輩が、宜しく言っていたよ。と美容師さんから、言われて、ずっと覚えててくれたんだ。
そして、美容室への入社式は、美容室グループ全体でやる為、東京の四谷公会堂で入社式をした。
そして、待ちに待った再会!
O先輩だぁ〜、えっ!あっ!O先輩?卒業して2年後、再び会えた。感動。
だけど、髪型が、高校時代は、リーゼントだったのに、後髪が、な、なが〜い。
せ、先輩が、私の方へ来た。
あの新入生の方は、あちらへと、ご案内かぁ〜
先輩は、新宿御苑にある美容室に勤めている事が、その時出会った、先輩と同じお店で働いていた子と知り合って、分かった。
後に、私は、憧れで入った美容師の世界には、向いていない事が分かり、辞める事にした。
辞めてからも、まだ、O先輩が忘れられずに、東京に住んでる友人と新宿御苑に行き、O先輩の働く美容室を探しまわって、やっと見つけた。
ガラス越しに、遠くから離れてお店の中が見えた。
あっ!O先輩だぁ…入社式で出会った同期が、私に気づき、私は、思わず逃げ去ってしまったら、同期が追いかけて来て、お店においでよと呼びに来てくれたけど、私は、更に逃げ去ってしまった。
そしたら、O先輩までが、来てくれて、一緒に行った友人は、高校時代の先輩の親友の元カノだったので、O先輩に、「京子ちゃんがお手紙書くって言っていますから、そしたら、お返事書いて頂けますか?」と言ってしまい、えっ!「私はそんな事、言っていない!」と、心の中では、呟くも、先輩は、「ハイ!お返事書きますね」と、返って来たので、驚いてしまって…
その日から悩んだ末に、お手紙を書いて出したら、な、何と!へ、返事が届きました。
To kyoko.
から始まって、もう中身は、覚えていませんが、いつか、何処かに一緒に行こう!と書いてあったのを覚えています。
嬉しくて、嬉しくて、でも、彼女、今いるのかは、聞けぬまま時は過ぎ
ある日、自分の誕生日に、思い切って、先輩のアパートを訪ねてみると、先輩は、友人と約束があり、出掛けないといけないけど、良かったら、どうぞと部屋に入れてくれた。
先輩と2人っきり、ドキドキして、何を話したら良いのか分からず、先輩は、窓を開けて、今日は、「星が見えるよ」って、言って眺めていたけど、そばに近寄る勇気が出ず、その場から、「そうなんですね。」と、そして、一緒にテレビを少し観て、写真があったので、見させてもらい、2枚程、写真を貰いたいと言って、貰って、「では、そろそろ帰ります」と、先輩は、駅まで送りたいけど、人をお店で待たせているから、送れないけど、「気をつけて帰ってね」と、言われて、バイバイした。
これが、会う、最後のお別れになるとは、思いもしなかった。
その後、私は、クリスマス近くに白いシクラメンの花を買って、先輩のアパートのドアの前に置いて来た。
私は、その頃、再就職した、会社の川崎の寮に住んでいたので、クリスマスイブの前日、ハガキが届いた。
また、To Kyoko って、書いてあって、「シクラメンのお花、大切に育てていますよ。」て、「また、会いに来てくれたら、嬉しいな」と書いてあったのです。
それって、どういう意味?なんだろう?
それから、私は、仕事の関係で地元に戻ったある日、1通の手紙が届いた。
O先輩からだった。
また、To Kyoko と書いてあり、今でも覚えている内容は、貴女は、僕の事を憧れていたんだよ。僕には、都会の孤独を癒してくれる女性がいるんだ。「貴女だったら、可愛いし、きっと素敵な人に出会えるよ」って書いてあった。また、遊びに来てくれると嬉しいなって、書いて終わり、何で、急にこんな手紙が届くの?
それから数日後、変な内容の手紙が捨ててあった。内容は、母が書いた、私の妹になり変わっての内容で、 O先輩に宛てた手紙の内容だった。「お姉ちゃんを宜しくお願いします」って、書いてあった事だけは、覚えていますが、勝手に、なんで、手紙なんか書くのって、凄く母を恨みました。
これで、先輩の事は、終わりだ。って思ってた頃、先輩から、ハガキが、届いた。
To Kyoko 貴女に応援してもらったけど、僕は、美容の世界を辞めて、今、中野の大手町の居酒屋で働いていると書いてあった。もし、良かったら、会いに来てくれたら嬉しいなと書いてあったが、もう、お別れした人。さようなら
これが、私の青春時代の思い出、マンガの世界みたいな出来事でした。
END
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