犬も走れば

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「おい、見えてきたぞ。あれが目印だよな?」  サスケは息を切らしながらコタローに叫んだ。 「あぁ、もう少しだ。最後まで駆け抜けるぞ」  コタローは最後の力を振り絞り、アスファルトを思い切り蹴り飛ばし加速した。 「……おい、死ぬかと思ったぞ」  サスケは目的地のベンチの上にゴロンと寝転がった。二匹が辿り着いた公園は、遊び疲れた子ども達が親と仲良く手を繋いで帰って行く。  秋の夕暮れ、日没まであと少しの時刻。 「……ここで間違いないな?」 「あぁ、お前も良く知っているだろう?」  ベンチの上の二匹の犬と、バッグ。  コタローは走って来た道を見つめながら「後は待つだけだ」と言うと、サスケの体をさすった。
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