第4章:発情(Ω)

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彼女の啜り泣きが落ち着くと ガチャガチャとドアが開き閉まる音がした。 やっと出て行ったか。 こんな告白場面に 他人がいたとなると、 告白した女性が気の毒すぎるので、 絶対にばれないように息を潜めていたが、 そろそろ限界を感じていた。 二人が出て行ったと思った瞬間、 ほっとし はぁーっと大きな息が出た。 すると 「盗み聞きですか?」 と、安堵した僕の背後から突然声が。 部屋を一緒に出て行ったと思っていた 御曹司くんだ。 僕はいるはずのない人の登場に 心臓が止まりそうになった。 「え、な、え?な、なんで!? あ・・・いや・・・ それはそっちのセリフか・・・えっと・・・ あー・・・僕はもともとここにいて」 「ええ。この部屋に入った時から知っていましたよ。 あなたの匂いがしたので。」 「に、匂いって。」 「ここから出ている甘い匂いですよ。」 御曹司くんはそう言うと 僕の首筋に指先で触れた。 「わっ!」 そのフェザータッチに、 背骨がゾワゾワっ震えた。 動揺して目が左右、上下に動く僕とは違い、 御曹司くんは ずっと変わらず僕の顔を真っ直ぐに見つめている。
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