どうせなら好きな物を

２．

　昼休みの後、授業を二つ受けてようやく放課後を迎えた。
　理沙には諦めたと言ったけど、まだどこかで気にしていた。誰かが好きだとかそういうのならとにかく、布一枚だ。私はここまでしつこい性格だったかと疑問に思う。

　自分を疑ってどうするんだろう。信じてもいないけど、それは違う。考え込むのはやめて、教室を出た。

　きょうは一人だ。理沙はバイトの面接を受けるとかで先に帰った。私も自分で稼ぐようになったらケチではなくなるのかもしれない。
　けど、いまのところ必要がない。入学前から勉強に集中するようにも言われている。

　いまのお小遣いでどうにかなっているし、何か特別に欲しいものがあるわけでもない。
　だから、このままで良い。

　家に帰る。寄り道をする気分じゃないから真っ直ぐに。
　前を向いていたけど、花屋の近くに来たらまた気になり始めた。

　店の前で自転車を降りた。
　店の人が何か知っているかもしれない。

　色とりどりの花を見ながら、訊くかどうか迷う。