第二話

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俺を安心させようと努める彼女の(やわ)い声色が、逆に気分を逆撫でした。お前はこの事態を受け止め切れる器ではないのだと、見ないようにしていた自分の無力さを掻き集め、突き出されているような気がした。だから素直に回れ右をするなんて出来なかった。 「うん、ありがとう。今から、向かうね。」 「ちょっと。話聞いてた?あんた、学校は?」 「抜けてきた。」 「駄目よ。放課後ならいつでも来ていいから。もう山場は越えたわ。容態は安定しているから、心配しないで。」 「ごめん、もう、電車乗るから。」 息が上がって切れ切れになるのをどうにか押し込んで、通話を切った。改札に定期券を通す。電車はまだ来ていない。重なっていく不在着信と、執念深い着信音に苛立ち、携帯電話の電源を落とした。
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