第七話☆デートプランはお任せを☆

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第七話☆デートプランはお任せを☆

あのお泊り会から一ヶ月、 今日は先輩達の卒業式。 そして、なんとあの時は渡す勇気がないと 言ってた恋が左京先生に告白をして 付き合うことになったみたい。 嬉しいニュースだよね。 だけど、相手は教師。 自分たちを思い出す。 誰にも(仲間以外)バレないでかつ 二人っきりになれるデートプランを考えなきゃね。 そうだ、マー君にも協力してもらおう。 『ねぇ恋、二人のこと旦那さんにも話していいかな?』 マー君なら確実に協力してくれると分かってる。 「左京先生に訊いてみないと何とも言えないけど、 それって、華蓮が結婚してることも 言わなきゃならないんだよ?」 それは最初っから覚悟してたことだ。 『私は大丈夫だよ』 誰かのことを聴く時は自分のことも話さなきゃね。 「じゃぁ、後でメールしてみるね」 恋はスカートのポケットをぽんぽんと叩いた。 そこに携帯を入れてるみたいだ。 今日は授業がないから午後には聴けると思う。 この後、五人で遊ぶ予定だしね…… 学校を出て、二駅先のカラオケに行った。 「先生から返事来たよ」 恋が携帯を私に見せた。 どうやら、今から此処に来るみたい。 二十分後、私たちの居る部屋のドアが開いた。 「早かったね」 おっ、タメ口なんだね。 ますます、自分たちを思い出すなぁ~ 『左京先生、とりあえず座って下さい』 入口に近い所に私が座ってたから少し詰めて席を空けた。 「ああ、ありがとう佐川さん」 私の名前、知ってたんだ。 『いえ、早速本題にいきたいところですが 一つ、左京先生に言わなきゃ ならないことがあるんです』 改まった私に左京先生は首を傾げた。 『実は、結婚してるんです』 そして、私の言葉に素っ頓狂な声を出した。 「え……?」 皆は知ってるから驚くことはない。 『佐川っていうのは旦那さんの苗字なんです』 そう告げると左京先生は瞬きを数回した。 「先生、何時まで固まってるの?」 恋の呼び掛けで何とか戻ってきた。 「皆は知ってたのかい?」 四人は頷いた。 「そうか…… 因みに何時結婚した訊いてもいいかい?」 答えてもいいんだけど先生がまた放心しそう。 『高二の時なので今年で二年目です』 あ、やっぱりまた固まっちゃった。 「先生!!」 恋に揺すられて戻って来た。 『何となく、反応は分かってました』 これが普通の人の反応だよね…… しかも、左京先生は私たちと歳が近い方だし。 「旦那さんとは何処で知り合ったんだい?」 次に来るであろう質問は予想に反さずその通りだ。 『高校時代の担任ですよ』 旦那さんことマー君は今も母校であり 私たちの出会ったあの場所で教師を続けている。 「…………」 今度は固まらなかったけど黙ってしまった。 此処で口を開いたのはすっかり空気と なりつつあった理香だった。 因みに、琴羽と陽菜子はマイペースに 何を歌うか二人で曲選びをしている。 「私たちも初め訊いた時ビックリしました」 理香は少し大袈裟なジェスチャーをした。 「けど、今日は恋との今後のデートプランを決めるのに 先生にわざわざ来てもらったんですよ?」 そう、同じような体験をした私なら 何かいい案が浮かぶかもとこうして呼ばれたわけだ。 『そこで、二人のことを旦那さんに話して いいか訊くために来てもらいました。』 同じ教師としてもいい相談相手になると私は思う。 『なんなら、一度会ってみますか?』 敢えて、家の旦那さんにとは言わなかった。 「華蓮、迷惑じゃない?」 今まで黙っていた恋が焦ったように言った。 『全然迷惑じゃないよ』 だって友達だもん。 『何だったら、この後皆で家来る?』 そんな提案をしてみた。 「それこそ、迷惑じゃ……」 基本的にうちは事前に連れて行く人を メールで知らせておけば大丈夫だったりする。 これは、二人のルールだ。 『前以て、何人連れてくか言っておけば大丈夫だよ』 今の時刻は午後四時半。 まだ学校に居る時間だ。 『どうします?』 左京先生に訊く。 「……お邪魔させて下さい」 私はマー君にメールするためにバッグから携帯を取出した。 《お仕事お疲れ様、今日ね友達と 友達の彼氏を連れて行くから宜しくね 人数は五人だよまた後でね》 送信。 これでよし。 私も歌おうっと。 陽菜子に貸してと言いながら近付いて行った。 カラオケ屋さんを出たのはそれから二時間半してからだった。 皆を連れてマンションへ。 駐車場にはマー君の車が停まっていた。 それだけ確認し、エレベーターに乗り 部屋の前まで来て鍵を開けた。 『マー君、ただいま』 リビングに居るであろうマー君に声を掛けた。 案の定、玄関まで来た。 『お帰り、そして、皆さんはいらっしゃい』 「お邪魔します」 皆を代表して左京先生が言った。 『どうぞ、上がってください』 来客ようのスリッパを人数分出した。 案内はマー君に任せて私はキッチンでお茶の用意をする。 左京先生だけ好みが分からないから緑茶にしといた。 『マー君、悪いんだけど運ぶの手伝って』 リビングに居るであろうマー君を呼ぶ。 『はいはい』 炬燵から立ってキッチンに来た。 二人で七人分のお茶を持ってリビングへ戻った。 『お待たせ』 皆の前にカップを置いた。 『それで、華蓮 彼を連れてきた理由は?』 『実はね、彼 うちの学校の先生なの』 それだけ言えばマー君に伝わったはずだ。 『成る程、何となく分かった』 やっぱりね。 そして、今までの経緯を話した。 それを聴いたマー君は私と同じことを 思ったらしく、一言 俺たちみたいと呟いた。 「華蓮の旦那さん」 少しの沈黙の後口を開いたのは恋だった。 『何かな?』 私の隣に座ってたマー君はやんわりと優しく聞き返した。 「何で華蓮と付き合おうと思ったんですか?」 そう言われればそうだ。 私が告白したのはまだ一年の時だったし、 断っても何の支障もなかったはず。 『確かに、あの時は華蓮もまだ一年だったし 断ることも出来たけど俺が惚れたから付き合うことにしたんだ』 そんなこと初めて知った…… 『告白された時はまだ華蓮のことなんて 殆ど知らなかったけど付き合っていけば知れると思ったんだ』 へぇ~ そんなふうに思ってたんだ。 マー君と左京先生が煙草を吸いに行った瞬間を 逃さず、恋がニヤニヤしながら私を小突いた。 「華蓮、愛されてるね」 さっきの言葉を思い出して顔が暑くなった。 恥ずかしくて俯いたら、マー君に抱きしめられた。 皆が居るのに~!! 「仲良しでいいね」 理香まで楽しそうに言った。 って違う!! 今日は恋と左京先生のデートプランについて 話すために連れてきたんだってば…… 『話しがズレてるよ』 数時間前を思い出す。 「そうでした…… 実は私たち、此処に居るメンバー以外に 知られずにデートしたいんです」 ふう~ 本題に入れた。 それを聞いたマー君は紅茶を一口飲むと 恋と左京先生の方を向いて考え込んで 恋と左京先生に質問した。 『二人の家ってどの辺?』 「私の家は、此処から一時間くらいです」 「僕の家は、此処から四十五分くらいです」 それぞれ、二人が答えた。 お、左京先生ん家は意外と近いんだ。 『じゃぁ、会ったりするのはこの付近がいいかな』 恋にはちょっと遠いけど、安全面を考えれば マー君の言う通りこの辺りで会うのが妥当かも知れない。 左京先生はあの頃のマー君と同じで 人気者だから、恋人が生徒だなんて 知られた日には大変なことになるだろうな。 『そうだね』 私はマー君に賛成した。 『陽菜子たちも何時で遊びに来てね』 先生ん家が意外と近いことが分かったから 当初の問題があっさりと解決した。 その後、夕飯の時間になり ついでに、家で食べてってもらうことになった。 皆、家族に連絡済み。 流石、教師が二人居るだけある。 「華蓮のご飯おいしいね」 食休みをしていると突然、琴羽が言った。 『そう? ありがとう』 何だか照れるなぁ…… 『よかったな、華蓮』 マー君の手が頭の上なポンと乗っかった。 『うん』 自分の作った物を美味しいと 言ってくれるのはやっぱり嬉しいし 次は今よりも更に美味しく作ろうと思うのだ。 何時かまた、皆に料理を振る舞う機会があったら 今日よりももっと豪華で美味しい物を作ろうと決めた。
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