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04
その日からは怒涛の展開であった。
結果的に、門野君は責任能力が認められずお咎めなし。それに激怒したナミちゃんの両親が報復として門野君を刺し殺してしまったのだった。野次馬に囲まれながら罵声を吐くナミちゃんの両親は、ずっと泣きながら笑っていた。門野君が殺されるなら、私も殺されなきゃいけないのだろう。ナミちゃんは私が身代わりにしなければ苦しむ事も、死ぬ事も無かったのだから。
私は震えていた。誰にも本当の事を言えなかった。
程なくして事件のあった廃屋は取り壊され、何も無くなった。
暫くは献花に訪れた私も、次第に足が遠のいていった。
クラスメイト達が私の事を警察や教師に言うかと思ったが、彼女達は単に私が怖気づいて行かなかっただけで、ナミちゃんが門野君に襲われたのは事故だと思っているようだった。一人、廃屋で遊んでいたナミちゃんが…自分達のいじめに巻き込まれて死んだ。そう思った彼らは口を噤んで、私に近寄る事もなくなった。
私は結局、あの黄昏の中でナミちゃんを生贄にする事で純潔を守ったし、いじめからも解放される事になった。
こんな事を思う私は最低だけれど。その時は思ってしまったんだ。
『ナミちゃん、ありがとう』って…
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