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ねぇねぇ、聞いて欲しい話があるんだ。
今から話すことは、私が高校生の頃に体験したことなんだけどね。
え?始まり方が胡散臭いだって?
これは本当に、本当にあった事なんだ。信じて欲しい。
友達と2人、夕暮れ時の帰り道に起きた不思議な出来事……
季節は、秋から冬になりつつある時期だったと思う。
学校帰りは夕暮れっていうか、ピークを少し過ぎた頃合いだったよ。
その日、私と友達は一緒に帰ろってなって普段通りに学校を出て行ったんだ。
友達は、学校から歩いて20分くらい離れたとこにある駅を使っていて、私は遠回りになるのを承知で一緒に帰ってた。
話していた内容は、まぁ、ね。
多分、どーでもよくて、しょーもない話をしてたと思うよ。
それでね、全く知らない道ではないんだよ。
何回も同じ友達と同じ道を歩いていたし。私もその周辺に通っている接骨院があるから、見知った道なのさ。
でも、その日だけは違ったんだ。
とある、そこそこ大きい交差点から、友達が使っている駅に着いて別れるまでの間の記憶が2人して、すっぽり無くなっていたんだよ!!
次の日も一緒に帰ったんだけど、そういえば昨日どんな話をしてたっけ?ってなって
そうしたら友達は、交差点から駅までの記憶が無いって言ったんだよ。
話していた内容も、歩いた景色も、そこだけ記憶が無いって。
私も話していた内容が全然思い出せなくて、かろうじて歩いた景色が断片的に途切れ途切れだけど覚えていた感じだったんだ。
でも、私もね最初思い出そうとした時は全く分からなかったんだよ。
2人してすっぽり記憶が無くなっている事に、びっくりしたし、ちょっと怖かった。
必死に2人で記憶を探ったけど、結局何も思い出せなかった。
だから友達と一緒に、
『よく無事に家に帰れたな……』
って言い合ったよ。
その時は、きっと話していた内容がどうでもいい話過ぎて記憶から消されたんだねって無理矢理自分たちを納得させたけどね。
それから1年経って別の友達にこの話をしたんだけどね、それって神隠しみたいじゃんって言われて、確かに似たような出来事だと思ったよ。
もしかしたら、何かを見てしまって消されたのかもしれないし
神様に会ったのかもしれない。
ただ単に忘れただけかもしれない。
でも、現在何も起きてない。
特に何もなく生活している。
結局何が言たいのかというと、
あの夕暮れ時に起きた不思議な出来事は、私と友達にとって思い出深い記憶になったということ。
いや〜ごめんね、あんまり内容がない話で。
でもさ、一度こういう事が起きたってことは、
2度目もあるかもしれないってことだよね?
だからさ、今度一緒に帰らない?
学校帰りの夕暮れ時に。
今度は、そう、
あの時と同じように、川の近くを歩こうか。
そして、思いっきりくだらない話をしよう。
そうしたら、また起きるかもしれないね。
約束だよ?
楽しみだね、一緒に記憶を無くしに行くなんてさ。
今度は、何を失うんだろうね……
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