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ここは夜陰に忘れ去られし黄昏の国。
空は薄気味悪い飴色に染まり重たい雲がどんよりと漂っている。大地は枯れ果て花も咲かなくなってしまった寂しい国だ。当然、人や動物も住んでいない。
かつては多くの生き物がこの国に住んでおり活気に満ち溢れていたらしい。丘から見える夕焼けの景色は海までも朱く染め、その美しさから黄昏の国と呼ばれていた。
ある日の夜──
空気が澄んだ夜だった。
夜空には満天の星が溢れ生まれたばかりの繊月が顔を出している。
流れ星がヒュンと横切ればその度に人々から歓声が沸き上がった。
だが、そんな夜を喜べない者が一人居た。
黄昏の国の外れに住む魔女だ。
私利私欲のためだけに魔法を使い住人から嫌われている厄介者。
魔女を追い出そうと住民が働きかけたのだが黄昏の国の国王は平等の精神で対応し魔女を追い出すことなく対等に扱った。
しかし、魔女の心に王様の気持ちは届かず差し出された手を払いのけた。そして憐みの目で見られたと勘違いをし憤慨したという。
どんどん黒く大きくなる邪悪な心。
ついに魔女は優しい心を落としてしまった。
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