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「お前のシャーペン、こんなところまでころころ転がってきたぜ」
放課後。”KANADE"という刻印の入ったピンク色のシャープペンを差し出して、麻木くんは言った。このシャープペンシルは、豊中中学校卒業記念品で、男子はネイビーブルー、女子はパステルピンクで、金色で自分のファーストネームが刻印してある。麻木雅人くんも受け取ったはずだ。”MASATO"と刻印されたものを。
「ありがとう・・・」
やっとのことで私は言った。
麻木くんとは中学が一緒だという接点があるだけで、あとは何のつながりもない。一匹狼っぽい麻木くんは中学から相変わらずだ。成績は、常にトップ、スポーツも万能なので、クラスのメンバーにも一目置かれている。
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