四時のチャイム

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四時のチャイム

 みんなは、四時とか五時に流れるチャイムを知っているだろうか。  夏の明るい時期は四時で、寒くなってくると五時に流れるあのチャイム。夕焼けこやけ、とか蛍の光、とかそういうものが流れるやつだ。あれは防災行政無線が流しているもので、なんでも非常時にきちんと音が鳴るかどうかチェックするべく、毎日時報のように同じ時間に音楽を流すことにしているってものらしい。  この音楽は、地方によって全然違う。  普通に夕焼け小焼け、が流れるところもあれば、某有名な女性歌手の曲のメロディーが流れるところなんてものもあるとかないとか。  今回俺がブログに書かせて貰うのは、そんなチャイムに関わるお話。  これは、俺の友人Aが話してくれたことだ。  Aは住んでいるところは東京だけど、親の実家は結構な山奥の農村で、休みになるとしょっちゅうそっちに遊びに行ってたらしい。  バスも一日に四本しかない、そもそもバス停から村の入口までも二十分くらい歩くような辺鄙なところだ。でも、Aには年の近い従兄弟がいて、その村に遊びに行かなければ会えなかったし、都会にはない自然がいっぱいでAは毎年遊びに行くのを楽しみにしてたんだとさ。  遊びに行けるのは、大抵一年に二回。夏休みと、大晦日だ。  大晦日になると村まで帰って、親戚一同と一緒に鍋を囲んで年越しをして正月過ごして東京に帰る。小学生の頃は、毎年のようにそんなかんじで過ごしてたらしい。  ただ、Aはずっと一つ奇妙に思っていることがあった。  Aの両親はどっちも同じ村の出身で、父方の祖父母も母方の祖父母も一緒に集まってわいわいするのが普通だったんだけど。  正直、すっごく辺鄙な村でさ、コンビニもないようなところなのね。  村の中に、小さな商店街があるくらい。で、携帯電話は圏外じゃないけど、ひっじょーに電波が悪いようなところ。正直中途半端な時間に遊びに来ても、楽しめるような施設とか全然ないわけよ。携帯の電波も悪いから、ゲームどころかメールも思うようにできないくらいだしね。  そんな村なのに、何故か大晦日の日になると、両親は早朝からAと妹を連れて家を出るんだ。  早朝に車に乗ると、混雑していなければ昼過ぎくらいにはどうにかAの親の実家に到着することになる。なんだか両親は、夜のギリギリの時間に到着しないように、毎日ものすごく慌てて家を出ているように見えたんだと。
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