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或る大親分の長歌
着流しの
パイプくゆらせ
帰り道
鼻歌まじりの
カタルシス
トンビコートの
皺うきつ
渡世の背は
縮みけり
天への憧憬
垂る雲の糸
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≪歌意≫
着流しを着てパイプをくゆらせながら歩く、ムショ帰りのかつての大親分。
(過去の栄光を思い出しながら)鼻歌を歌い、カタルシス(=精神の浄化。心の鬱積したものや澱が排泄されること)を得ようとするが、(羽織った)トンビコート(=ケープの付いた男性用の外套)の皺は浮き、その渡世(人)の背中はすっかり縮んでいる。
天は天国。
パイプの煙がひと筋の糸のように天へと伸び、まるで天から垂れる(芥川龍之介の『蜘蛛の糸』じゃないが)雲の糸を掴みたいような憧憬にかられる(もの悲しい身の上である)。
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