ある発明家の顛末

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ある発明家の顛末

 とある発明で一山当てたばっかりに仕事を辞め、発明に身を置こうと決意したグレゴリーは、途端に何も思いつかなくなった。  発明家とは名ばかりに無職同然、ストレスで頭は禿げ、酒に溺れる毎日。  その日もバーで酒をあおり、しこたま酔った帰り道、やめればいいのにスラムの()()どもに喧嘩を売った。  返り討ちに遭ったグレゴリー、落書きだらけの壁の(そば)にあるダストボックスの上に無残に打ち棄てられた。  仰向けの顔の真上には、ちょうどピッカリとした電球の落書きがあった。  その光景を見て人は言う。 「まるで今際(いまわ)の際に何か思いついたみたいだな」 【end】
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