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加害者になってしまったからといって、普段だったら
ここまでしたりしないだろう。
柊生は論理的で、計算高くて、付き合いが浅かったら
冷たいと勘違いされるタイプだ。
「でも、なんかあれじゃない…?」
傑が黙っていると、柊生はニヤニヤしながら続けた。
「いくら強い抑制剤飲んでるとはいえ
傑くんは何も感じないのに、オレだけあの子の
フェロモン感じちゃうなんて、あれだよ、ほら
運命のなんちゃら!だったりして」
にやける柊生とは対照的に、傑は露骨に呆れた
顔をした。
「…なに夢みる女子高生みたいな事言ってるの…
発情期とかフェロモンとか、単なる生理現象なのに
いい大人が運命とか言っちゃって…
柊生くん疲れてるんじゃない?」
「じょ…冗談だけどさ」
柊生は幼馴染みからの冷静なつっこみに、急に
冷静になり、恥ずかしくなった。
「とにかくさ、どうなったかは…また電話してよ?
あの子に落ち着いたらバース科にも行くように
伝えて」
「うん、今日は本当ありがとう!また連絡するわ」
そう言って笑う顔は、いつもの爽やかな友人で
傑は、心配し過ぎかな?と
先程感じた不安は 忘れることにした。
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