1. 最悪の日?

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柊生(しゅう)はその日 7時頃から取引相手と ホテルで食事をとりながら打ち合わせをしていた。 2時間程度で仕事は終わり、ホテルを出ようとした時 ロビーで偶然大学時代の友人に会った。 懐かしさで話が盛り上がり、そのままホテルの バーで話し込んでしまった。 ちょっと話すだけのつもりだった柊生は、車で来て いた事もあり、ノンアルコールビールで話し続け 気づけば電車のない時間になっていた。 柊生は遠慮する友人を車に押し込んで 彼を自宅まで送りとどける事になる。 そこまではよかった … が 彼を降ろし、帰ろうとしたところで道に迷って しまったのだ。 来た道を戻っているつもりが、どこで間違ったのか 思った道に出られず、カーナビと辺りの建物を 交互に見てキョロキョロしていた。 小さな工場と住宅が点在する人気の無い道。 狭い道路は一方通行と袋小路ばかり…。 ー これはまずいな…。 一度車を停めてカーナビをちゃんと確認しようと 思っていた、その時だった。 3叉路の左から現れた原付に気づくのが遅れて 後ろから思い切りぶつけてしまったのだ。 すぐに急ブレーキをかけたものの間に合わず 衝突の衝撃とともに、原付は派手な音をたてて 転がり、運転していた少年?も 一瞬ボンネットに乗り上げたような状態から アスファルトに向かって飛んで行くのが見えた。 「やっべっ…!」 思わず口をついて出た。 ー クソ!完全に こっちの不注意だ! それほどスピードは出ていなかったものの 初めて人と接触して、加害者になってしまった恐怖で すぐには動けず、足がガタガタと震えだした。
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