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柊生はその日 7時頃から取引相手と
ホテルで食事をとりながら打ち合わせをしていた。
2時間程度で仕事は終わり、ホテルを出ようとした時
ロビーで偶然大学時代の友人に会った。
懐かしさで話が盛り上がり、そのままホテルの
バーで話し込んでしまった。
ちょっと話すだけのつもりだった柊生は、車で来て
いた事もあり、ノンアルコールビールで話し続け
気づけば電車のない時間になっていた。
柊生は遠慮する友人を車に押し込んで
彼を自宅まで送りとどける事になる。
そこまではよかった … が
彼を降ろし、帰ろうとしたところで道に迷って
しまったのだ。
来た道を戻っているつもりが、どこで間違ったのか
思った道に出られず、カーナビと辺りの建物を
交互に見てキョロキョロしていた。
小さな工場と住宅が点在する人気の無い道。
狭い道路は一方通行と袋小路ばかり…。
ー これはまずいな…。
一度車を停めてカーナビをちゃんと確認しようと
思っていた、その時だった。
3叉路の左から現れた原付に気づくのが遅れて
後ろから思い切りぶつけてしまったのだ。
すぐに急ブレーキをかけたものの間に合わず
衝突の衝撃とともに、原付は派手な音をたてて
転がり、運転していた少年?も
一瞬ボンネットに乗り上げたような状態から
アスファルトに向かって飛んで行くのが見えた。
「やっべっ…!」
思わず口をついて出た。
ー クソ!完全に こっちの不注意だ!
それほどスピードは出ていなかったものの
初めて人と接触して、加害者になってしまった恐怖で
すぐには動けず、足がガタガタと震えだした。
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