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近づいてすぐに、感じた。
和真の華奢な体から放たれているもの。
肩に少し触れただけなのに、和真は震えて柊生の手を
払いのける。
柊生 自身も体が熱くなって、その熱が自分の中心に
集まっていくのを感じる。
ー ヤバイな…ラットだ…
このままでは完全に巻き込まれると感じて
咄嗟に2、3歩後ろに後ずさった。
どうしようかと躊躇っていると、和真がゆっくり
立ち上がった。
肩で息をしながら充血した目で柊生を見つめる。
その目に引き寄せられるように、フラりと足が
勝手に前に出た。
柊生の心臓は飛び出しそうなほど暴れまくって
飛び出しそうだった。
ー 今手を出したら、ただのゲスだ!
昨日だって耐えたんだ!まだ間に合う離れろ!
頭の中では激しく警報が鳴っている。
でも自分の意識に反して、和真にむかって
勝手に手が伸びてしまう。
和真の細い肢体に触れる…前に…
突然 和真が目をギュッと閉じて、力いっぱい
柊生の胸を突き飛ばした。
そのまま先ほど寝ていた寝室に駆け込んで
激しい音をたててドアを閉める。
「部屋借ります!!」
部屋の中から切羽詰まった声が聞こえる。
柊生は衝動を押さえられず、和真の逃げ込んだ
部屋のドアの取手に手をかけた。
勢いよくドアを開けて、驚く和真をベッドに
押し倒して強引に唇を重ねて、隙だらけの服の中に
乱暴に手を突っ込む!
… そんな衝動をギリギリで押さえた。
額をドアにつけて目を閉じ
ハーハーと上がった 呼吸を整える。
ー 耐えた、よく耐えた!俺!
深く息を吐いてから、ゆっくりドアから離れて
できるだけ静かに声をかけてみた。
「根岸くん、大丈夫?」
返答はなかった。
「……少しコンビニ行ってくるから
ゆっくり寝てて」
そう言って部屋に背を向けた時に、中から声が
返って来た。
「…今、もう一回、薬飲んだんで
少ししたら落ち着くと思います」
「りょうかい」
声が聴けてホッとした。
とにかく今は離れていないと、お互いのフェロモンに
負けてしまう。
柊生は上着を着て、財布だけ持って
フラリと家を出た。
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