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(…ごめん)
傑は悪くない。逆の立場だったら自分も
同じように諭していたかもしれない。
「謝るなよ、ありがとう。ちょっと目が覚めたよ
確かに、、どうかしてたかもな…
おとなしく仕事でもするわ」
(おう!ってゆうか奢りの話し忘れるなよ)
「…覚えてたんだ」
当たり前だ!と騒ぐ傑と冗談を言い合いながら
電話を切った。
開け放たれた窓から、少しだけ肌寒い風が
吹き込んで、ソファーに座る柊生の髪を揺らす。
柊生は眩しさに目を細めながら、窓の向こうの空を
しばらく眺めていた。
・
・
結局 夕方まで一心不乱に仕事をしていた。
何も考えずに。目の前の事を確実にこなし。
ノートパソコンを閉じて、体を伸ばした。
リビングに置きっぱなしになっていた携帯を
躊躇いがちに見る。
やはり着信はない。
連絡がないということは、何も問題がないという事。
ー どうして そう思えないんだろう…
外を見ると、まだ5時だというのにすっかり薄暗く
なっている。
柊生はソファーに座り、テレビをつけたが
内容はちっとも入ってこなかった。
無意識に携帯に手を伸ばしては
アドレスを開く。
ー これが最後だっ…
そうだ気になるなら電話してみたらいいんだ
出ないから心配になるんだ。
あぁ 充電するの忘れてました!
もう~過保護だなぁ って
ちょっと いい加減で、嘯いた感じで
そう言ってくれたら それで終るんだ。
アドレスから通話ボタンをタップした
(この電話は電波の……)
静かに携帯を耳から話した。
何かに憑かれたように、柊生はジャケットを着て
携帯と財布だけをもって家を出ていた。
だって 消しても、消しても
嫌な予感ばかり浮かんでくるんだ。
柊生の車の助手席に、まだ微かに残る和真の匂い。
「大丈夫だ」
誰に言ったのか、何が大丈夫なのか
自分でも分からなかったが
勝手に口からこぼれた。
大丈夫、もう一度呟いて車を発進させた。
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