1. 最悪の日?

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ー 殺した? 一瞬本気でそう思った。 ー とにかく救急車?警察? 連絡しなければ! そう思って携帯を探す。 胸ポケットやズボンのポケットを探ってみたが無い。 動転しているせいか助手席に投げ出されている 携帯を見つけることができない。 もう一度原付バイクの方を見ると 小柄な少年が微かに動くのが見えたが 暗さと、彼の被っているメットのせいで 表情までは見えない。 ー よかった意識はありそうだ! そう思った柊生は外に飛び出して バイクの少年にかけよった。 「大丈夫ですか!?すみません よく見てなくてっ」 「… たぶん」 少年は柊生を一瞬だけにらんで イタタ 、、と呟きながら立ち上がろうとした。 柊生は咄嗟に 手を貸そうと、少年の肩をそっと 支えた。 その時 微かに甘い香りが 漂う。 ー !…この香り…ひょっとしてこの子…。 柊生が感じとった事を 少年も気づいたのか 「大丈夫ですよ 歩けますっ!」 そう言って急に慌てたように柊生から身をひくと 道路の真ん中に転がっている原付に向かって フラフラと歩いて行く。 「あ、俺がやるから!」 柊生はそう言って少年を手振りで止めて 彼の代わりにバイクを起こして路肩に寄せた。 「今救急車と警察に連絡するから!」 急いで車に戻ろうとする柊生を見て 突然 少年が慌てて叫ぶ。 「あ、あの…大丈夫です! 警察も救急車も!」 「え?」 「本当 大丈夫なんで…」 言いながらバイクを動かそうとするので 柊生は慌ててそれを止めた。 「いや、大怪我してるかもしれないし そういうわけにはいかないよ バイクだって弁償しなきゃ…」 「いや、これ中古なんで! もともとボロいんで…」 先ほど柊生を睨み付けた態度から一変して 急に腰が低くなる少年を、柊生は訝しげに見つめた。
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