人生の半分より

1/1
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/55ページ

人生の半分より

私の夫は少し?いや、変わっている… 嫁を貸し出す事を平気にする… 表現がおかしいかもしれないが…これは、夫の許可をもらったうえでの相手と出かける事を許し…たとえ相手が好意を持っていても、それが変な奴や家庭や家計にリスクをもたらす人でない場合は許される…たとえ二人の間に何かしらあったとしても… 夫が言うには息抜きだそうだ…機嫌良く、リフレッシュして帰ってきて、それでいて…自分の為じゃなくても可愛くいようとする嫁になるのも良し、その相手から何かしら貰えたりするのなら有り難いし…けっきょく、いつも通りの安定な生活が送れるなら良し…自分の生活が崩されなければ良いのだ。 夫は私を愛していない訳ではいない…ただ愛している嫁が、人から好意をいだかれるのを好きなタイプで…けっきょく、どんな事があっても私が戻る場所は夫のところと思っているからだそうだ。 おかしいかもしれないが、逆に夫は全く私以外の他の人と付き合った事もない…興味すらない。普通なら自分も自由恋愛だからといって、嫁を貸し出しているのかと思われがちだが、全くなく…私の恋愛模様を見て聞いて、それでも俺のとこに戻ってくるってのが好きなのかもしれない… 私も夫を愛していない訳ではない…ただ私の欲しい愛ではなく…もう家族という形の愛になっているっていう感覚だったのかもしれない。元々、大事な人間の相手の求める自分であろうとする体質の私は、夫が喜ぶ嫁でいたくて、家事や育児、仕事や…恋をするようになったのかもしれない。 止められれば、まだ止められてたのに…夫と付き合ってきてからの時間は人生の半分が過ぎ、今さら…もう止められる事など無く過ぎていた…きっといつもの恋模様なぐらいにおもったのだろう。 まさか、こんな未来がくるなんて…夫も想像していなかったと思う。私ですら、想像していなかったのだから…たかだかハタチそこらの若造の出会いが、こんな人生を変えるなんて誰も想像していなかった。 彼からのストレートな「好き」を受けながらも、その前から私の親が計画していた旅行がクリスマスにあった…さすがに、彼はヘコんだと思う…けど、これで目が覚めるかもしれないとも、思っていた。 なんだか、それはそれで切ないような…そんな気持ちになっている自分を押し殺して、幸せな家族旅行に出かけた。 だけど、そこで気付いてしまったのだった… ここに一緒に来たいのは誰なのかって… 楽しいのに、何を見ても思い浮かぶ…彼の顔…どうして自分がここにいるのか?彼がいないのか?そんな変な感覚に襲われた。
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!