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1番の幸せ
大好きだった彼の話を若造の彼は、普通に聞いてくれた…何でも話してしまうバカ正直な私の話を若造のくせに、なんやかんや笑いに変えてくれる。
本当は面倒くさい、ウザい話を付き合ってくれて…それで、私が一生懸命に考えて思いやってしてきたんだから…と優しく包んでくれる…私の気持ちをくんでくれる…寄り添ってくれる…私にとって不思議な変わった若者だった。
素直で正直で人間らしくて、とても私には輝いて見えた…そんな若者を本当は、私なんかが汚してはいけないと分かっていたのに…次第に自分が止められなかった。
私は1番になるのが嫌いだった…
なりたくない訳ではない…けど、2番で良くて生きてきた…1番だとしたら、また不満がうまれてしまう…納得できない自分が出てくるし、いろんな不平不満が出てくる。
それなら、はなから2番で良い…そう思ってたのに…あの若造の彼にとっては、私は1番で…それを身にしみるほど感じた。
恥ずかしいけれど、本当に女として愛される1番を初めて実感したのかもしれない。私しか愛した事のない人と結婚しているのに、平気で貸出しする夫…2人も息子がいるけど、いずれは彼女や嫁ができる…
今まで、こんな感情は見付けられなかった。
1番…1番苦手だったはずなのに、すごく幸せだった…
知らなければ良かったと思う。
知らなければ深みにハマる事なんてなかったのかもしれない。
私が、ろくな恋愛してこなかったからか…
私のどこが良いのか分からないが、ひと回り以上も上の私は、彼より早く間違いなくお婆ちゃんになる…シワシワでダルンダルンの体でヨボヨボになる。
それでも彼は、ずっと「可愛い」と言い続けると言っていた。先にお婆ちゃんになっちゃうよ?と言っても
「きっと可愛いお婆ちゃんになるんだよ」
と微笑んでくれた。
世の中ではアンチエイジングだとか、美容だとか、みんな頑張ってるのに、何もする気のない私に…そのままで良い…その老化すら愛おしいと言ってくれて…なんだか肩の荷がおりるようだった。
努力しない訳じゃないけど、無理しなくても良いよ…本当に、そのままでと言われたら…どれだけ最高だろう…
見た目ではない。ただ私でいたら良い…
私らしく、私でいたら良い…
この人は、私の皮をはいだ内側を見てるのだ…実は大人のお姉さんぶってるだけで、本当は子供っぽくて、甘えん坊で泣き虫で寂しがり屋な私でいても良いのだよ…と言われてるようで、私は私らしく彼の前でいられるようになった。
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