50人が本棚に入れています
本棚に追加
「何か分かったか?」
敷地から出ようとしていた徳丸に、声がかけられた。
徳丸が顔を向けると、刑事の堀田がコンクリートの塀にもたれかかっていた。
「あの家政婦が言うように、被害者は大きな蛇に呑み込まれたんじゃないですかねえ」
徳丸の言に、堀田はうなずいた。
「その可能性は高いと思うんだが、疑問だらけだ。
発見当時、部屋の窓は開いていたが、そこから大きな蛇が出入りした痕跡は無い。そして、ドアから出た様子も無ければ、廊下を這いずった痕跡も無い。それに、辺り一面くまなく調べたんだが、巨大な蛇が移動した痕跡も見つからん。蛇が殺したというなら、そいつはどっから入ってどこに消えたのか。
まったく、こんな事件ばかりだ」
堀田は大きなため息をついた。
「憶測で変なこと書かんでくれよ。
この辺の住民に騒がれても困るからな」
堀田は徳丸を横目で見ながら、釘を刺した。
「へい、わかっとりやす」
徳丸は小さく頭を下げると、その場を離れた。
最初のコメントを投稿しよう!