役 全優

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『おかえりーっっ!!』 役 全優の頭上にクラッカーの花が舞い散る。 『えへへ』 全優は照れ臭そうに美しい顔を緩めて可愛らしく微笑んだ。 全優の親友の神崎 琴子は、 全優の照れる顔を、 ニッコリと本当に嬉しそうに微笑み返しながら、小さな小包を手渡した。 『本当に、全優ってば凄いよねぇ、私と同じ歳でもう大学卒業しちゃってるんだもん』 全優は小包を嬉しそうに受け取りながら包みを開けると、中に入っていた、髪を結うリボンに、嬉しそうに口元を緩ませる。 ポニーテールのゴムの部分にくるりと巻きつけた。 『全優!可愛い!』 『ありがとう、檸檬!』 膝の上に座る、琴子の娘の檸檬の頭を撫でてニカっと照れ臭そうに笑う全優。 『あっちでの生活は楽しかった?』 『うん、楽しかったよ』 『また、季節違いのタートルネックなんか着て、虫眼鏡みたいなサングラスとかかけてたんじゃないよね?』 『はは…、 それは、やめれないよ』 檸檬におどけた顔でふざけながらそう言う全優に、琴子は眉を下げた。 『全優はさ、もうちょっとずる賢く生きた方が、いいんだけどな』 小さなアパートの小さな部屋にある窓から、 琴子は空を自由に飛ぶ鳥を見据える。 『全優はさ、何にだってなれるんだから』
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