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母の手術は成功し、今は二人で家事を分担している。スナック勤めも時間を短縮してくれるようになった。
「ねぇ、悠真はどうして母さんの私への気持ちが憎しみだけではないってわかったの?」
「明日香を見るお母さんの目がいつも悲しそうだったから。俺もお前を好きだから、周りの人のことは真剣に見ていたからね」
彼が私を見守っていてくれたことに胸が熱くなる。
「ありがとう」
「突然どうした?」
「何でもないの」
悠真のおかげで今まで、交わることのない平行線だった道が少し近付いた気がする。
団地に灯りが点いている。二人手を繋いで見上げた群青色の空は、どこまでも深い色だった。
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