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(体が動かない……。
それにオレの体にのしかかっている物は何だ?)
もう夢から覚めてオレは自分の部屋にいるはずなのに、まるでさっきまでの悪夢の続きを見ているみたいだ。
オレは腹の底から込み上げてくる不安と恐怖から隣の部屋にいる両親に助けを求めようとしたが声が出ない。
そして今の怪奇現象のような状況を解決できない苛立ちの中で、不安ばかりが膨れ上がった。
(いったい、何が起きているんだ?
どうしてオレの体は動かない?
オレの体に乗っているのはいったい何だ?)
唯一動かすことができた眼球で、オレは体にのしかかっている何かを見ようとしていた。
そして暗い部屋の中でオレの体に乗っている何かは動いていた。
オレがその様子を見て、悲鳴を上げたい恐怖にかられたとき、オレの体に乗っている何かがオレに顔を近づけてきた。
オレは自分の顔をのぞき込んできたのが誰であるかに気づくと、体が凍りつくほどにゾッとして、息をするのも忘れていた。
「私はお前に呪いをかける……」
忍はオレにそう言うと、金縛りにあっているオレの瞳をまばたきもせずに見つめていた。
「柳田貴史……。
三日以内にお前は死ぬ」
オレの体に覆い被さってそう言った忍は、頭から血を流し、冷たい手でオレの顔を押さえていた。
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