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「昨日の夜、杉田忍の幽霊をオレは見た。
ウソじゃない。
忍の幽霊は頭から血を流して、血にまみれたセーラー服を着ていた……。
それで忍の幽霊は、まばたきもしないで、じっとオレをにらんでいたんだ……」
オレは昨日あった出来事を思い出しながら、早口で康孝にそう言うと、自分を落ち着かせるために一度そこで言葉を区切った。
そしてオレは昨日の夜からずっと気にかけていることを康孝に話していた。
「それでさ、忍の幽霊は気味の悪い低い声でオレにこう言ったんだ。
『私はお前に呪いをかける……。
柳田貴史……。
三日以内にお前は死ぬ』って……。
呪いで死ぬとかマジなのかな?
康孝、お前さ……」
オレはそう言って康孝の顔をのぞき込んだ。
「呪いって信じるか?」
「呪いを信じるかだって?」
康孝はそう言うと、また声を出して笑っていた。
「そんなの信じるわけねぇだろ。
ガキじゃねぇんだからさ」
その言葉は、いかにも康孝らしい考えだった。
昨日までのオレならば、康孝と同じように呪いなんて言葉を笑い飛ばしていただろう。
でも、昨日の恐怖体験が夢であったとは思えない。
杉田忍は死んでもオレを憎んでいる。
そう思えて仕方がなかった。
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