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「オレさ、ずっと忍をバカにしていじめていたけど、あいつが本当に死ぬなんて思ってなかった。
あいつの家から遺書みたいなのが見つかってないから、あいつの死は事故死ってことになっているけど……。
オレはあいつの死が自殺だって思っている。
杉田忍を殺したのは、オレを含めたこのクラスの人間なんだ……」
オレが康孝にそう言うと、康孝の顔から笑顔が消えた。
そして康孝は低く真剣な声でオレにこう言ってきた。
「忍が死んだ理由は事故だ。
もしもそれが間違いだとしても、それを証明できる奴は誰もいない。
このクラスにいじめなんてなかった。
みんなでそういうことにしようって決めただろ。
忍をいじめていたオレたちは確かにいけないことをしていたかもしれない。
でも、いじめられていた忍だって悪いんだ。
あんないいとこなしの陰キャな女なんて、誰だっていじめたくなるだろ。
そうだよな、貴史」
康孝の言葉には妙な説得力があった。
忍の死が100パーセント、オレたちのせいだとしても、死人に口なし。
いくらでも自分たちを正当化することはできるのだ。
もう忍の死の真相を語る者は誰もいない。
オレたちさえ何も言わなければ、真実は闇の中に閉ざされたままなのだ。
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