最後の夜【杉田忍】

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午後の8時、外はもう暗かった。 私はアパートを背にして小さくため息をつき、夜空を見上げてみたが、雲に覆われた空に星はなかった。 (行かなくちゃ……。 今日死のうって決めていたから……。 生きていても良いことは何もない。 私は早くあっちに逝かなきゃ……) 私はネットの中に遺書を残したけど、それを知るクラスメイトは誰もいない。 私の本当の気持ちを知っているのは、『復讐日記』の最後の章をフィクションだと思って読んだ読者だけだ。 そしてその読者たちは杉田忍という絶望に満ちた中学生が本当にいることを決して知らない。 でも、それでいい。 だって私の読者たちは、こんな私に同情することがあったとしても助けてくれることはないのだから……。
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