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「君は嫌な女だ」
そう笑いながら、すぐるさんは私の長い髪を撫でる。
毎日、面倒だけど
念入りにトリートメントをして、
櫛(クシ)でといで、さらさらになる甘い香りのヘアコロンをふりかける。
この日の為に。
本当はすぐるさんの事が大好きだけど、
私は、そうでもない、フリをする。
それをあなたは求めているから。
だから、電話もあんまり出ないようにしてる。
本当は毎日でも声を訊きたい、けど。
「ナツメグ、仕事は順調?」
すぐるさんは腕枕をしている手で、髪を触りながら聞く。
「やめてよ、ナツメグなんて呼ぶの」
私は、上半身だけ起こす。
白いリネンのシーツで胸元を隠す。
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