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「なんだよ、勿体ぶんないで教えてくれよ」
バスがスピードを緩めて止まった。
ドアが開き、前に座っていた人が降りていった。
これで、バスには私を含め後ろの二人と三人だけになった。
「なんかな、よくわかんないんだけど、冥界への使者が出るらしいんだ」
「冥界への使者?」
ほほう、冥界への使者と来たか。ファンタジーに溢れている。
「夜遅くなると、若い男が二人座ってるみたいで、振り向くと連れて行かれちゃうって話」
「若い男二人って、ちょうど今の俺たちみたいじゃないか」
Bは笑った。
「でもさ、その話がホントなら、その男達の座る位置も重要だよな」
「そーだな。一番前の席に座ってたら誰も振り向かないもんな」
話はホラーよりかはギャグ路線に傾き始めた。
確かに彼らのいう通りだ。
後ろを振り向かせなければいけないとなると、最前列にいてはできない。マヌケな使者だ。
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