11/20

374人が本棚に入れています
本棚に追加
/92ページ
 店の見回りは世界の闇を、汚いところを見る任務だ。一軒目は雑居ビルの一室。 「ここは?」 「ギャンブル場」 「え⁉︎」 「ここにいて」  驚く開堂を置いて、ビルの中へと入る。普通なら監視カメラに姿を見せ、インターホン越しに秘密の言葉を言わなければいけないけれど、事前に連絡がいってたのだろう。すぐにドアが開けられた。 「どう?」  ドアが完全に閉まるなり尋ねると、この店を任されている小太りの男は興奮気味に口を開いた。 「先月は三人新しい客が来ました。元々海外でギャンブルに嵌ってたらしいし年収もある。いいカモになりますよ。売り上げも順調です。あと、新しいスロット台、あれはいいですよ! 金を産みます!」 「わかった。報告しとく」 「あとこれ、ボスに!」  渡されたのはメモリカードと茶封筒だ。メモリカードにはここ一ヶ月の業務報告と顧客名簿が記録されている。そして茶封筒の中身は。 「ん」  毎月どんどん分厚くなる上納金。中身がいくらなのか、その金額が外ではどれくらいの価値を持つのかはわからない。でも、半端な金額じゃないのは確かだ。
/92ページ

最初のコメントを投稿しよう!

374人が本棚に入れています
本棚に追加