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開堂に与えられた任務は、反社会勢力排除に力を入れる官僚の暗殺だ。
どんな殺し方でもいい。自殺や病死に見せかけてもいいから一週間以内に殺せ。現役官僚の死去ともなれば、必ずテレビや新聞で報道される。それを以って任務成功とする。
開堂は上から与えられた指示に神妙な顔で頷き、持てる限りの道具を持ってアジトを出て行った。
「成功すると思うかー⁉︎」
「さあ。殺しなんてしそうには見えないけどね」
「賭けようぜ!」
「俺は逃げるに一票!」
「俺は失敗して捕まるだな」
「えー可哀想じゃない。誰か成功させて戻って来るにかけてあげなさいよー」
バーには組織のメンバーが集まり、恒例の賭けが始まった。
「逃げたら誰が始末する?」
「今回は私の番でしょ。お金弾んでねー!」
「お前は高くつくんだよ」
「えー今月バッグとコートの支払いがあるのに」
「逃げても発信器つけてるんだろ?」
「ああ。携帯と靴底にな」
「新入り誰も気づかねえよなー」
繰り広げられる下衆なに、嫌気がする。
「追い詰められた時のあの表情、面白くてたまらないよな」
「そうそう! 前の奴は泣きすがってきたわ!」
「その前の奴は九州まで逃げやがったから追いかけるの大変だったわ」
「あいつはどうかな」
聞いているだけで吐き気がする。
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