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開堂はそう言うと、片手で店員を呼び、慣れた様子で何やら呪文のような言葉を唱えた。
そしてやってきたのは。
「お待たせ致しました。ケーキ二種プレート、ショートケーキとオレンジショコラのムース、ダージリンのお客様?」
「彼女です」
「ありがとうございます。ではこちらがベイクドチーズケーキとエスプレッソです」
「ありがとうございます」
草花の模様が入った白いお皿に、苺ののった白い三角形のケーキと、オレンジと茶が層になった丸いケーキ。ピンク色の液体で花模様の装飾までされた、綺麗な一皿だ。
「柑橘も大丈夫だよな?」
「え?」
開堂は照れたように頬を掻く。
「いや、オレンジ頼んだからな。たまに柑橘系が苦手な子もいるだろ? ダメなら俺のと変えるけどどうする?」
「……大丈夫だと思う」
寧ろダメなわけがない。何となく確信があった。
ゆっくりとフォークに手を伸ばし、そのままゆっくりと、まずは白いケーキにフォークを刺す。その柔らかさに少し驚いて、そして口に運んでまた驚いた。
「……美味しいっ……」
「良かった! ……お、ここのほんとに美味しいな」
ユキが食べるのを見届け、自分のケーキを頬張った開堂はニカリと笑う。
でもきっと言葉の意味はわかってない。
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