二、

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 開堂は優秀だった。  たった一日で要人を殺害し逃げおおせた実力は伊達じゃないらしい。ユキとの任務は勿論、単独任務でも失敗は0。犯罪とは無縁に見える容姿も重宝する。  組織の中での存在感が増していくのは、当然の成り行きだった。 「お! 帰ったか!」 「開堂、飲もうぜ」 「ああ」  夜に仕事から戻れば、バーにいるメンバーは開堂を歓迎する。 「報酬上がったでしょー?」 「まあな」 「あなた仕事が早いもの。当然よね!」  まとめ役の女も。 「一気に幹部候補だな」 「幹部になりゃいいぞ? 上から家まで用意してもらえっからな!」 「それはすごいな」  古株達も。 「ユキ」 「……はい」 「あれは随分優秀なようだな」 「……ええ」  ボスまでも、皆開堂を信用していく。  そして。 「ユキ、開堂、仕事だ」 「ああ」 「今からここに行って全てを始末しろ。それが終われば開堂、お前を幹部として認めてやる」  唯一開堂を認めていなかったスキンヘッドまでもが、動かざるを得なくなった。 「全てをって何を? どこまでだ?」 「行けばわかる。あとはユキに聞け。ユキ、わかってるだろ」 「……わかってるから安心して」  とうとう来てしまった。 「おっさん、行こう」 「え、ああ」  場所が書かれたメモを開堂に押しつけ、足早にバーを出る。  大丈夫、これが当たり前だ。ユキは自分に言い聞かせて助手席に乗り込んだ。
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