二、

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 バーが賑わう時間に工場を出て、目的地に着いたのは日付が変わろうかという時間だった。辿り着いたのは山奥のゴミ処理工場。 「お、お疲れさん」  入口には嫌な笑みを浮かべた組織の男が待っている。 「……どこ?」 「中だ」 「……方法は?」 「バレなきゃいい」 「……わかった」  会話はそれだけ。ユキが中へ歩みを進めると、入れ替わるように男は走り去っていく。 「どうしたんだ?」  開堂はその後ろ姿を振り返りながら尋ねた。 「急いで山を下りるの」 「何で」 「アリバイを作るためにね」 「何の」 「見たらわかるよ」  ユキはそれだけ言うと、廃車や家電ゴミが積み重なる広場の真ん中に立ち、辺りを見回した。  深夜の山奥は薄暗くて、数メートル先のものを見るのも苦労する。今夜は月すら雲で隠れていて、頼りになるのは僅かな照明の明かりだけだ。  でも、そんな場所だから感じる事もある。奥の方から弱々しい音と独特な匂いを感じた。 「こっち」 「おい! 何があるんだ?」  同じ事は二度は答えない。見たらわかる。それだけだ。  匂いの方を辿った先にあったのは、大きなドラマ缶だ。ここまで来れば、開堂も匂いの正体に気付いたらしい。 「おい、まさかっ……」 「……処理が私達の任務」  絶句する開堂の手をとった。無理矢理ドラム缶のすぐ隣へと連れて行く。  ドラム缶の中は血の海。そしてその海の中には、血塗れの男がぐったりと沈んでいた。
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