二、

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「何、だっ……」 「……後処理が私達の仕事」  努めて冷静に吐き捨てると、開堂の体は硬直した。その時だ、ドラム缶の中で男の体が僅かにうごいた。 「おい、まだ生きてっ」 「うん。アリバイを作るためにギリギリ殺さないで行ったんでしょ」  でも、もうすぐ死ぬ。呼吸は浅く、至るところから大量に出血してる。ドラム缶に溜まった血の量を考えても、助からないのは明らかだ。  それなのに開堂は顔を歪める。 「……何も考えないで」 「え?」 「どうせ何をしても数分後には死ぬから」  考えても苦しいだけだ。  やがて男の呼吸は止まった。血の海も一度大きく波打った後、一切の動きをなくす。完全に絶命したらしい。  ユキは無言で動いた。まずはジャンバーのポケットから取り出した注射を男の首に打つ。死後硬直を遅らせる薬だ。  その後、小瓶に入った赤い液体をドラム缶の中へ、青い液体をドラム缶の周りに撒く。  そして。 「下がって」 「えっ⁉︎」  火をつけたマッチをドラム缶に投げ込んだ。その瞬間、勢いよく火柱があがる。ドラム缶はあっという間に火に飲み込まれた。
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