二、

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 グラスを受け取り、躊躇う事なく口をつけた。  甘い。甘くて、柔らかくて、でもすっきりしていて飲みやすい。バーで渡される苦いばかりのお酒とは全然違う。いくらでも飲んでいられそうだ。 「おいし……」  知らず知らずのうちに表情も緩んだ。 「良かった。でも乾杯くらいしようぜ」 「え?」 「ほら」  開堂はそう言って自らのグラスをユキの方へと向ける。これでいいんだよね? ユキが戸惑いながら真似すると。 「乾杯」  グラス同士がカンッと高い音を立てた。  開堂はそのままグラスを口へと運ぶと、ビールを一気に喉に流し込む。  グビグビグビ。喉仏の上下と共にそんな音が聞こえてくる。  ーーお酒ってこういう風に飲むの?  呆気にとられている内に半分以上が消えてしまった。そして。 「あーっ! やっぱこれだなっ!」  開堂はグラスを置くなり大きく唸った。その表情は眩いばかりの笑顔だ。 「そんなに美味しいの?」 「ああ。最近はアルコール度数の高いウイスキーとかばっかでチビチビ飲まなきゃなんないからな。あれどうにかならないのか?」 「さあ?」  それだけ答えて、ユキも再びグラスを手に取った。  そうか、アルコールが高くないお酒はああ飲めばいいんだ。開堂に倣ってカルピスサワーを一気にあおる。 「おい、無理すんなよ⁉︎」  慌てたような、驚いたような言葉は無視だ。
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