二、

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   冷たくて心地いいお酒が喉を潤す。  お酒なんて今まで苦くて不味いものでしかなかったのに、これはすごく美味しい。一瞬でグラスの三分の一程がユキの中に消えた。 「おいおい、いい飲みっぷりだけど大丈夫か?」 「へーき」 「空きっ腹で飲むとよくないから、ちゃんと焼き鳥も食えよ?」 「ん」  勧められるままに、ちょうど出てきた一皿目の焼き鳥串に手を伸ばした。これも組織で出てくる食事とは全然違う。温かいどころか熱いくらいで、お肉がプリプリしていてすごく美味しい。美味しすぎて口の中全体にじんわりと焼き鳥の味が広がっていく。頬まで緩んでしまう。 「旨いか?」 「うん」  否定の言葉なんて出てこない。近くにこんな場所があるなんて知らなかった。  ガヤガヤした店内。ここにいる人達は皆楽しそうで、出てくる料理は温かくて美味しい。こんなに近い場所にあるのに、まるで別世界だ。 「あと何食べたい?」 「……おっさんに任せる」 「りょーかい。すみません、ハラミステーキと厚切りたん串!」 「はい! かしこまりましたー!」  素知らぬ表情を装いながらも、次の料理が楽しみで仕方なかった。
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