二、

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「おいユキ」 「さあ、おっさんも飲も飲も」  まだ何か言いたげな開堂に笑ってグラスを差し出すと、開堂は慌てて受け取った。納得はしてなさそうだけど、とりあえずお酒は飲んでくれる。  その姿に、また笑みが溢れた。  お酒がだいぶ進み、料理もあらかた片付いた頃には、店内はだいぶ静かになっていた。こういう所のお店は都心に比べて閉店も早いのだろう。タイムリミットが迫っている。  ユキはグラスを置いて、開堂の方へと体を傾けた。 「ユキ⁉︎」  驚く開堂に、更に体重を乗せる。 「なぁに?」 「いや、酔ったか?」 「ううん」  答えながら肩に顔を埋めた。  組織の女達はいつもこうやって男に甘えてた。バーでこういう事をしていた奴らは、暫くすると部屋に消えていく。今まではそんな光景が嫌で仕方なかった。なのに今では真似してる。自然と口角も上がってしまう。  そして、戸惑う開堂に追い討ちをかけるように囁いた。 「……ねえ。帰りたくない」  数秒の間。  その後、開堂も囁いた。 「……もう一軒行くか?」 「うん……」  それ以上言葉は必要なかった。
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