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報いたいと思った。自分に気遣って、我慢してくれている開堂に。
「おっさ、ん……」
「何だっ?」
「も、好きに動いて、いいからっ」
「辛くないか?」
「辛いのはそっちでしょっ。いいから、動いてっ」
その瞬間だ。
ズンッ。
「んあっ!」
激しい律動が開始され、感じた事のない衝撃が全身を襲った。同時に宥めるように額に、頬に、唇に、触れるだけのキスを繰り返される。
「ユキッ……」
キスの合間に呟かれたのは、ユキが聞いた事のない切なさを孕んだ声。それに何か答えようとしたけれど、その前にきつく抱きしめられた。
「ユキっ、きつかったら言えよっ? 止まるかわかんないけど、止めるからなっ!」
「もっ、いいからぁっ」
律動が繰り返され、頭がクラクラした。
最初は辛いばかりだったのに、いつの間にか股にはドロドロしたものが伝っている。泣きたくなるような快感がユキの理性を溶かしていく。
いつの間にかユキも綴るように開堂の首に腕を回していた。
下からは肌がぶつかり合う音といやらしい粘着質な水音。他にはお互いの荒い呼吸しか聞こえない。ユキの視界を支配する開堂の額には幾粒も汗が浮かんでいて、その扇情的な姿にまた胸が締め付けられる。
そして。ある場所をさすられた瞬間、ユキの背が大きく反り返った。
「ふっあぁあっ!」
甲高い声を上げたユキをきつく抱きしめ、同時に開堂も欲望を解放した。
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