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ラーメンを食べて温まってから帰ると、陽はすっかり落ちてしまった。昼間のうちは任務やら帰宅やら私用やらで外しているメンバー達が、組織に戻っている時間だ。
「お、開堂遅かったじゃねーか」
バーに入ると、酔っ払った男が出迎えた。スキンヘッドに次いで長くいるこの男。組織の中での力もあるだけに態度も大きい。ユキの表情が歪む。
「ああ、寒いからラーメン食ってきたんだ」
「ユキもか?」
「ああ」
開堂が頷けば、男がこちらを見る。まただ。またこの馬鹿にするような卑しい目。
「ユキ、良かったじゃねーか! いつも食べてる以外のラーメン食えて!」
「……うるさい」
低い声が出た。
こんな場所にいたくない。一刻も早く部屋に戻りたい。
男はユキのそんな想いを嘲笑うように続けた。
「ほとんどコンビニの握り飯とカップヌードルで生きてきたもんな? そういや最近肉付きが良くなったんじゃねーか?」
「……うるさい」
「金持ってねえんだから開堂の奢りだろ? 身体で礼くらいしろよ?」
「ねえ、うるさい」
「ヒョロガリで死にかけてたガキがなあ」
「うるさいってばっ!」
ユキが叫ぶと、男は「おー、こわ!」なんて笑ってみせた。勿論怖がってなんてない。馬鹿にしている事は明らかだ。
「どういう事だ……?」
ユキが言い返す前に、口を開いたのは開堂だった。
「死にかけてた? お握りとカップラーメン? 金を持ってない?」
どういう事だ?
開堂はまた声を震わせて尋ねた。
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