二、

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 ユキは小さく息を吐き出した。これだからこの男は嫌いだ。  どうせ古くからいる奴らは皆知っている事。何も変わらない。心の中で自分に言い聞かせてみるけれど、開堂の顔を振り返る事はできなかった。  なら、できる事は一つだ。 「……昔の話して楽しいの?」 「普段能面みてえな顔してるお前が、表情変えるなんて珍しいからな!」  吐き捨てるように尋ねると、男はまた馬鹿にしたように笑って汚い歯を見せる。 「……あ、そ。でもわかってる?」 「ああ?」 「私の方があなたの何倍も難しい任務や大金が絡む任務を任されてるの」 「てめえは絶対裏切らねえからな」 「そう。その裏切らないしどんな任務もこなしている私と、未だに大金が絡む任務はペアで行かされるあなた。組織がどちらか捨てるなら、どちらを捨てると思う?」  答えは明白で、男は押し黙った。 「何ならあなたを今ここで殺しても、組織は私を生かすと思うの」  最後に追い討ちをかけると、男は持っていたグラスを思い切り机に叩きつけた。その衝撃でグラスが割れ、お酒とガラスが勢いよく辺りに散乱する。
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