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「チッ可愛げのねえガキだなっ!」
「そうしたのはあんた達でしょ?」
「けっ!」
それきり男は足音を立てて、自室のある二階へと引き上げて行った。
残されたのは何も言わない開堂とユキ。ユキも無言のまま自分の部屋に引き上げようと歩みを進めた。でも。
「ユキ!」
「……何?」
「話がある」
開堂が片手を掴んで引き留めた。
「……わかった」
小さく了承の言葉を口にすると、そのまま手を引かれ、外に連れ出される。そして、ついさっき乗って帰ってきた車に誘われた。
「……さっきの話は本当なのか?」
「何が」
「ユキが子供の頃……その、お袋さんにクスリと引き換えにされてここに来たって」
「本当だけど? それが何か?」
あえて冷たく返すと、開堂は固まった。
「それが聞きたかったの? ならもう帰っていい?」
話したところで過去や現在が変わる事はない。なら話す意味がわからない。
「待て。誰かに助けを求めなかったのか?」
「誰に?」
「え?」
「誰に助けを求めるの? ここにいる奴らは全員組織のメンバーなんだけど? こうやって自由に任務に行くようになったのは最近。それまでずーっとこの建物から出された事なんて一度もないんだけど、どうしろと?」
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