374人が本棚に入れています
本棚に追加
/92ページ
ホテルについて、ユキは何も言わずに服を脱いだ。
ユキが何も言わなければ、開堂も諦めて何も発さない。
大きな手が、ユキの体を這う。
体中を撫でられ、口付けられ、溶かされる。
まるで微睡んでいるかのように、何も考えられなくなる。
愛撫はいつまでも終わらない。
蜜が滴り足を擦り合わせると宥めるように足を撫でられる。下に行こうとする頭を引き寄せる事で止め、首に手を回すと甘やかすように口付けられが降ってくる。
開堂が中に入ってくるのは、ユキの全身に力が入らなくなってからだ。
これがいつの間にか当たり前になった。
「ユキっ……もうっ……」
「ぅんっ!」
ホテルに来て初めての言葉。それを返した瞬間、最奥に熱いものが叩きつけられる。そして。
「ユキっ……」
「おっさ……」
お互いの名前を呼んだ瞬間、体は弾けるように反り返り、目の前が真っ白になる。荒い呼吸以外、何もできない。
力なくベッドに沈んだ。
開堂はそんなユキの頬をゆっくりと撫でた。
「ユキ、起きれるか?」
「……ん?」
これはいつも通りじゃない。いつもならもう少し寝かせてくれるのに。
最初のコメントを投稿しよう!