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急いで向かうと、開堂の姿はレストランの窓際の席にあった。海外をイメージしたのだろう、外観からおしゃれなレストランは女性に人気があるらしい。女性同士やカップルで賑わっている。
そして開堂もその一人。開堂の向かいには綺麗な女性が座っていた。
女性は二十代半ばくらいだろうか。黒髪のショートカットにグレーのスーツがよく似合う大人の女性だ。年齢も開堂と並んでも見劣りしないし、容姿だってここからでもわかるくらい整っている。
二人は笑いながら食事を楽しんでいた。開堂もいつもの困ったような笑い方ではなくて、砕けたような、完全に気を許したような笑い方だ。
「……なんだ……」
声が震えた。
「おっさん……恋人いるんじゃん……」
どうりでおしゃれなカフェに慣れてると思った。どうりで夜景とか飲み方とか、女の子の好きな物を知ってると思った。
どうりで。どうりで……。
「恋人がいるのに……他を抱いたらだめだよ……」
頬に一筋の涙が伝った。
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