三、

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「そんな事でいいのか?」 「……うん」  イルカにカメにクラゲ。あと名前のわからないたくさんの魚。看板に描かれているのは、たくさんの生き物と、それを見て楽しそうにしている子供達の姿だ。 「なら早速行くか」 「今から?」 「早い方がいいだろ? ここから近いみたいだしな」 「……ん」 「よし、水族館に出発だ」  車は再び動きだした。  水族館は幻想的で、この世のものとは思えなかった。異世界にでも来ている気分だ。 「これは?」 「クラゲの特別展示だって」 「光るの?」 「光るのもいるけど、これは下から色付きライトで照らしてるんだろうな。ほら」 「ほんとだ……」  色んな種類のクラゲの特別展示は青や赤、ピンク、オレンジのライトで照らされていてとても綺麗だし。 「うわあ……」 「こういうの好きか?」 「……うん」  色鮮やかな無数の魚とイソギンチャクが作り出す熱帯の海は、このまま水槽に沈んでしまいたいとさえ思った。 「喉乾かないか? サイダー飲めるか?」 「……飲める……と思う」  中のカフェでペンギンの飾りが乗った可愛いドリンクを買ってもらい。 「ほら、そこの席どうだ? 見やすそうだぞ」 「……うん」 「どうだ?」 「……すごい……」  イルカのショーも真ん中の席で見せてもらった。
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