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目を閉じれば、力なく横たわる飼い主の姿は完全に見えなくなった。そうすればもう耳障りな騒ぎ声も気にならない。
思い浮かぶのはおっさんの事ばかりだ。
星空が綺麗だなんて初めて知った。
初めて食べたケーキは、この世にこんな物があるんだっていうくらい美味しかった。
水族館はまるで別世界みたいで、綺麗で、楽しくて、輝いていて……あのままあそこで沈んでしまいたかった。
おっさんは私が呆然とする度に驚いてた。私が喜べばこれでもかというくらい笑って、最後には頭を撫でてくれた。手を繋いで歩いてくれた。
セックスだって、知っているのとは全然違った。
初めては少し痛かったけど、それ以上に優しかった。たくさんキスをしてくれて、撫でてくれて、終わってからも抱きしめてくれた。
二回目からはただただ嬉しかった。
おっさんと二人だけの空間で、おっさんの事だけを考えられる。我を忘れるくらい気持ち良くて、ずっとずっとおっさんに縋っていられる。
丸腰であられもない姿を見せてるわけだから、おっさんがその気になればすぐに殺せるのに、おっさんは何もしなかった。それが嬉しくて、残念で仕方なかった。
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