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少しすると店の奥から着物を着たママさんらしき女性が出てきたけれど、その女性は僕の母だとすぐにわかった。
「陽翔なの?」
母から言葉をかけられて、
「そうだよ、お母さん!」
と僕は返事をした。
「陽翔、また会えるなんて…
私は嬉しいよ!」
母は少し涙ぐんで、僕に優しく言葉をかけてくれた。
僕は母と月奈は、僕とは会いたくないかもしれないと不安に思っていたけれど、今のこの状況は僕と再会できたことを喜んでくれているようで安心した。
「僕は表半球で暮らしているけれど、2年前から月に2回くらい裏半球に来て、お母さんと月奈のこと探していたんだよ!」
母は僕の顔をしっかり見ながら、話を聞いてくれていた。
「それから、お父さんのことなんだけれど、2年前に肝臓がんで天国に旅立ったよ!
お父さんは、お母さんと月奈のことを心配していたよ!」
母は驚きを隠せないようで、月奈は涙を流していた。
月奈は涙をぬぐって、
「お兄ちゃん、何か飲む?」
と聞いてきたので、
「焼酎お願い!」
と僕が答えると、月奈は頷いて焼酎のボトルと氷、コップを用意してくれた。
「お母さんと月奈も飲んで!」
と言うと月奈が、
「ありがとう!」
と言って、母と月奈の分のコップも用意して、水割りを3つ作ってくれた。
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