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「陽翔との再会を祝して乾杯!」
母の言葉で3人は乾杯した。
僕は表半球でのお父さんとの暮らしのことや4年制の大学を卒業して今は旅行会社に勤めていることなどを話した。
お父さんとは2人で家事を分担して助け合って暮らしていたことも話した。
「そうなんだ!
大変だったんだね!」
母の言葉に僕は、
「ううん、そんなに大変じゃないよ!
それより、お母さんと月奈はどうしていたの?」
と聞くと、月奈が父と母が離婚してからのことを話してくれた。
母と月奈は地球が自転していたころからここで暮らしているけれど、地球の自転が止まったら太陽が出ない夜の世界になってしまい、結果的にそのまま裏半球で暮らしているようだった。
そして月奈は何とか高校まで卒業したけれど、経済的に母を助けるために大学進学は諦めて、母のスナックを手伝っているという話をしてくれた。
僕よりも母と月奈のほうが、よほど大変な暮らしをしているのだと感じた。
そのうちお店には別のお客様が来て、母と月奈は別のお客様の接客もするため、僕の席を外すことが多くなった。
僕は母と月奈が他のお客様へ接客する姿を見ながら、2人が何とか元気に暮らしていることを知って少し安心した。
23時を過ぎた頃、僕はホテルに戻ることにして、
「お母さん、僕は今月13日まで冬休みでここに滞在しているから、明日以降もっと話がしたいよ!」
と言って、僕はスマートフォンの連絡先を書いたメモを母に手渡した。
「わかったよ!
日曜日はお店がお休みだから3人で会いたいね!」
と母が僕を誘ってくれた。
「また明日もこの店に寄らせてもらうね!」
と母と月奈に伝えて、僕はお店を出て滞在しているホテルに戻った。
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